メジャーリーグ・シアトルマリナーズのイチロー選手が、金曜日(日本時間)に打率でリーグ首位に立ちました。日本では既に大選手の域に達していたイチロー選手ですから、私としては彼がアメリカで活躍しても当然のことだと思っているんですが、やっぱり私自身日本人ですから海外での日本人選手の活躍は嬉しいですね。
日本では大騒ぎです。テレビのスイッチを入れると、チャンネルをどこに合わせてもイチロー選手のニュース。そうでなくても毎日のように「今日のイチロー」ニュースが放送されてますけどね。正直なところ飽きてきました。特に熱心なのは、日本の公共放送である「日本放送協会」ことNHKです。正午のニュースでも、夜7時のニュースでも、スポーツニュースのトップはイチロー選手の出場試合をはじめとしたメジャーリーグの試合の途中経過や結果です。ニュースの放送回数が多いだけに余計に目立ちます。
しばらくの間は、打率2位の選手と毎日のように順位が入れ替わる日々が続いて、そのたびに今日は上だの下だのと大騒ぎするのでしょう。ホームラン数や打点、盗塁数と言った絶対数を積み上げる記録と違って、(安打数)÷(打数)という形で計算される打率は簡単に上下しますからね。
しかも、シーズン終了時にある程度の打席数(規定打席数)がないと記録として認められないのですから、例えば今イチロー選手が怪我をして今シーズン絶望にでもなったら(縁起でもないことを言うもんじゃありませんが)、今の大フィーバーはぬか喜びになってしまいます。まだメジャーリーグの日程は半分も終わっていない段階ですし、何が起こるかわかりません。大騒ぎするのは、イチロー選手がシーズン規定打席数に達してからでも遅くないと思います。1番打者で先発出場を続けている彼なら、かなり早い時期に達成できる可能性がありますから。
(うんちく・打数と打席数)
「打数」と「打席数」はよく似ている言葉ですが、その記録上の意味は違います。とにかく打席に立った回数が打席数、そこからフォアボールやデッドボール、犠牲バントや犠牲フライの回数を差し引いたものが打数となります。つまり、結果的に「好きなように打たせてもらえなかった打席数」を差し引いたものが打数というわけですね。
打率を計算するときには打数を使います。ただし、打率を公式記録として認めるときの条件には、出場した時間を計る意味で打席数を使います。この規定打席数には「チームの試合数×3.1」という数値を使いますが、これは試合に先発出場している選手なら3回くらいは打席に立つであろう…という解釈のようです。
ところで、ヒートアップする一方のメジャーリーグ熱に比べて、日本のプロ野球に対する目は冷めてきたとよく言われます。先にも触れていますが、テレビのスポーツニュースでも、最初に「今日のイチロー」コーナー…ときどき「今日の新庄」になったりもするわけなんですが…を大々的に放送した後、おまけのように「今日のプロ野球」が取り扱われています。これまで簡単に視聴率を稼いでいたプロ野球の生中継が苦戦しています。何しろ、日本の小泉首相が「日本の野球よりもメジャーの方が面白いよね」と発言してしまうくらいですから問題は深刻です。
いろいろと原因は考えられるのですが、原因の一つにはマスコミの姿勢があると思います。特にNHKの放送ポリシー。ニュースの編成については先に触れましたが、午前中に衛星放送ばかりか総合テレビでも試合の生中継をしてますからね。もともとメジャーリーグの試合の放映権を持っているNHKなだけに仕方がないところもありますが、日本の放送の代表というイメージを持たれるNHK(一応国営放送ではないんですけど)がこれでは、他の放送局がそうなるのは仕方がないですよ。
もちろん、日本のプロ野球自体がつまらなくなっていることも原因だと思います。いろいろとそこには理由があると思うんですが、一番問題なのは某プロ野球球団のオーナーでもあるあの東京の新聞社の社長だと思っています。何しろ自分の会社が儲かることしか考えてませんからね。「自分のチームが勝つため」ですらないところが困ったものです。経営者としてはある意味当然のことなんですが。
しかも、影響は野球だけじゃありませんからねぇ…横綱審議委員会という形で相撲にも首を突っ込んでますし、伝統のプロサッカークラブ(日本では人気スポーツでなかったサッカーをずっと支援し続けてきたことは評価できると思ってたんですが)は系列会社のテレビ局に押しつけてしまいましたし…いろいろとスポーツ界を引っかき回した上に日本のスポーツ振興に貢献していると勘違いをしています。困ったものです。あれはなんとかならないでしょうか?
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